数十年前のこと、当時の某レジェンドシェーパーの方が「シェーパーは、例えば 190 x 50 x 6.3 のラウンドピンを10本シェープしたら、10本ともすべて同じボードにシェープ出来なければいっぱしのシェーパーとは言えない。」という話をされていました。
私の友人で先輩シェーパーでもある彼も「1000本シェープを経験してやっといっぱしのシェーパーと言えるようになる。」と言っていました。
それには私も経験者として本気に同意します。
第一次サーフィンブームの頃は、仕事は沢山あったので、これから工場勤務のシェーパーとしてやっていこうという初心者シェーパーは初心者用サーフボードで数をこなして練習していたのです。
そうなんです、昔から初心者用サーフボードは安易に軽い存在で考えられていました。
否、今もその風潮は変わっていないのかもしれません。
でも、本当にそうなのでしょうか?
私はまったく真逆な考え方をしています。
何故なら、上手なサーファー、普通レベルのサーファーの方はシェーピングが悪くて調子の良くないサーフボードでも、本人は「調子が悪い!」と不満を言いながらもスキルがあるのでそれなりのサーフィンができてしまいます。
でも、まったくの初心者サーファーはそうは行きません。
初心者サーファーは調子が悪く適当ではないサーフボードで、波を見る眼やパドル力などの基本的なスキルが皆無な赤ちゃんのようなものなのですからテイクオフをすることすらままならないことでしょう。
10代から20代前半までの若い人達なら話はちょっと違ってくると思いますが、非力な女性やアダルトなジェントルマンの方々にはそんなサーフボードではさらにハードルが高くなってしまうのが当然です。
では、どうすべきでしょうか?
最適なサーフボードを使うことによってこのような初心者サーファーをサーフボードがフォローする以外に方法はないと思います。
これには初心者のことをよく考えずに安易にシェープしたクウォリティーのサーフボードで大丈夫なのか?
否、それは違うでしょう!
初心者サーファーだからこそ、少しでも早く上達するためにはハイクウォリティーなシェーピングの最高のサーフボードで練習をする必要があるのです。
例えば、初心者の女性の場合なら私はフローテーションバランスには特に細心の注意を払ってシェーピングをするようにしています。
オーバーフローな初心者用サーフボードでは、体重が軽くパドルが非力な女性の場合はフローテーションバランスがテイクオフという課題においてとても重要なキーポイントになります。
そういったノウハウが必要で、テイクオフは単純に浮力がい〜っぱいあればそれでいいというものでもないのです。
逆にオーバーフローな浮力がテイクオフの邪魔をすることもあるのです。
初心者サーファーだからどうでも良いのではなく、初心者サーファーだからこそ良いシェーピングのサーフボードが必須なのです。
私にとっての初心者用サーフボードは、初心者にとっての最大のテーマであるテイクオフをサーフボードがフォローするためのシェーピングデザインが必要で、じつはシェーパー泣かせの高難度なミッションなのです。
私は、これまで得た多くのデータを元に理論化してシェーピングしています。