私のシェープするサーフボードの基本的なボトムは2in1という考え方。
それは1つのボトムに2つのロッカーを組み合わせるというもの、
そしてそれを継ぐのはコンケーブ。
スピードを出して滑るためのロッカーとターンをして曲がるための相反するロッカーを1つのボトムの中に組み込んで融合させて作り出しています。
サーフボードのシェーピングにおいて、
やっぱり重要なのはボトムのシェーピング、
サーフボードが実際に水と接して滑る部分なのですから。
誰もがプレーニングエリアとテール部分はすごく気を使ってシェーピングをすると思うのですが、
これらに比べてあまり重要視されずに意外と手を抜いてしまいそうなのがノーズエリアのシェーピング。
でも、水が最初にエントリーする部分なので、
最初にコンタクトするノーズエリアで水がスムーズに流れないとなるとサーフボードにブレーキがかかってしまいます。
なので、本当に気を抜くことはできないんです。
プレーニングエリア、
当然ながらサーフボードがスピードを出して走る(滑る)エリアなのでシェーピングはとても重要です。
水がどう入って、どのようなルートでテールへ抜けて行くのか、いつもコンケーブの中を流れる水流をイメージしながらシェーピングをしています。
私は、流れる水(水流)が持つエネルギーを如何にしてサーフボードに伝えて性能アップに応用するか!というシェーピングコンセプトの命題を持っています。
こんな考え方を聞いたことはないという方がほとんどではないかと思うのですが、
実際には、テイクオフの早さだったり、スピード、またはドライブ(加速力)性能の基軸パワーになっています。
それには当然ながら流体力学を応用していることを忘れてはいけません。
テールは回転性(運動性能)に大きく影響します。
と同時に、プレーニングエリアの延長上でもあるので、
同じように、どうサーフボードにエネルギーを伝えるか、そして流すのかを考えています。
水流をテールの中央部分に集めること、
私は水の流れて行く様子をイメージし、それがどう影響するのかを考えながらシェーピングをしています。
写真では解り難いのですが、実はテールエンドの部分はとても複雑なラインで構成されているのです。
最後に、ボトムの左右が非対称であったり、微細な凸凹(バンプ)は水流を乱してサーフボードの安定感を損なうだけでなく、抵抗となって流れるスピードをロスします。
ということは、安定感が足りなくてスピードの出ないサーフボードになってしまうのです。
なので、できるだけクリーンでバンプのないボトム(コンケーブ)に仕上げなくてはなりません。
私の場合、これを突き詰めれば突き詰めるほど終わりのないエンドレス地獄に陥ってしまうことが目下の困った問題になっています。笑
ブランクスやレジンをはじめとするサーフボードを作る上での資材や人件費がアップしたことによって、
サーフボードの価格を値上げをせざるを得ないという苦渋の決断をしました。
では、どうやったらその値上げ分をお客様に還元することができるのかと考えた時に、
今まで以上に付加価値を高めること。
このクウォリティーでこの価格はとてもお買い得だ!良い買い物をできた!と思ってもらえるようなサーフボードを作ること。
そうやってお客様に満足してもらえる高付加価値のサーフボードをシェープすること、
私はこれしかないと思っています。
なので、今まで以上にさらに精進するのみで、
それに共感を持って頂けたお客様にご購入してもらえたなら大変嬉しいです。
また、シェーピングへのモチベーションも上がります!
写真は Kirinji model
プレーニングという言葉は、泳ぎ(クロール)やジェットスキーでもかなり深く追求される言葉です。どこまで速く、どこまでスムーズにプレーニングできるかをいつも同僚と話してます。今度是非日本でいろいろ教えてください。
長瀬くんのシェーピング理論では、プレーニングエリアとフローテーションバランスの関係がマジックボードには大変重要なキーポイントになっていると考えているんだよね〜。